4月29日(水)
オロロン・サント・マリーへ
ポーから電車で40分。オロロン・サント・マリーという町に着きました。
町の入口ですぐに、お目当ての川沿いに並ぶ町を見ることができました。わかりやすい。
写真を撮っているとおじいさんが話しかけてきました。
「ムッシュー、写真撮りにきたのかい?」
おそらくそんなことを言っています。以後、そのおじいさんのジェスチャーによる私の推測で話をすすめます。
「それならあっちの方に行けば〇〇があるよ。」
指を差しているので方向はわかるのですが、そこに何があるのかがわかりません。建物なのか景色なのか。
「まーっすぐ行った所にあるから。でもあそこは道幅が狭いからな。太っている人はきついんだ。でもアンタはミニマムだから大丈夫。幅がこれくらいしかないんだよ。」
ジェスチャーを交えて道幅が狭いことを説明してくれているのはわかりました。でもやっぱり何があるのかはわかりません。
とにかくおじいさんは、フランス語がわからないような反応をしている東洋人にたいして、全く構うことなくフランス語でどんどん説明してくれます。
「それと向こうの川は下に降りれるようになってるからそこを下っていけばナントカカントカ。」
2カ所目のことはなんとなくわかりました。しかし、そこからまた1カ所目の道幅の話に戻ります。
「歩いていくんだろ?あそこは道幅が狭いからな。これくらい。いや、これくらいかな。」
「わかりました。ありがとう。行ってみます。」と私が言うと。
「わかったか?あそこは道幅が狭いからな。これくらいしかない。道幅が」
道幅じいいさんにお礼を行ってから、指差す方向に向かいました。
フランスの田舎を紹介する本の中で、
”カメラをぶらさげていると村人が、「写真を撮るなら向こうにいいところがある」と言って教えてくれたりする”と書いてありました。
でも私は、そんなわけないだろーと思っていました。きっと本の著者はフレンドリーに挨拶とかしてるからだろうと。向こうから何も言わないのに言ってくるはずがないと。
本当でした。
まっすぐ行くと坂道があって、そこからの景色はなかなかきれいだった。
でも道幅狭くないから、ここじゃないんでしょ?おじいさん。
更にまっすぐ行くと、町を抜けてしまったような感じになりました。
少し戻って脇道に入ってみますが、幅の狭い所は見つけられません。なんだかおじいさんに申し訳ない。
とりあえず、あきらめて散歩道のほうへ。
いい景色でした。
藤の花はちょっと過ぎてるみたいです。
オロロン・サント・マリーは水が豊富なところのようで、町に入る手前のほうから川の音が轟々と聞こえていました。
いい感じのレストランを発見。今日は休みのようです。
川を挟んで町の対岸は公園のようになっているのでベンチに座ってゆっくり眺めることができます。
街灯があるようなところに花がぶら下がっています。今はまだありませんでしたが、橋にも花壇を取り付けられるような金具がズラッと着いていて、もう少し時期をずらせばもっと花いっぱいの町を見れたのかもしれません。くそう。
今どきの建物もありました。図書館のようです。たぶん。
フランスには公衆トイレが全然ない。あっても有料トイレ。という話を以前しましたが、それは都会だけのようで、田舎の町には無料の公衆トイレがちょこちょこあるみたいです。
歩き疲れたので帰ることにしました。さようならオロロン。ゴメンナサイおじいさん。
お、いい感じの車。
オロロンの駅に着くと、息子を見送りに来た老夫婦がいました。久しぶりの帰省だったのか、おばあさんの方はとても名残惜しそう。また来るから。みたいな感じで母親を抱きしめたりしています。いい家族だなぁと思いながらその光景を眺めていました。
電車が走り出します。
どこの国も同じで、若い人は都会に出て行くんだろうな。さっきの息子さんはどこに住んでるんだろう。ボルドーかな、もしかしたらパリかもしれないな。
すると10分もしない隣の駅で、さっきの息子は降りていきました。
近っ!!? そ、そんなバカな……。さっきの見送りはなんだったんだ……。
フランンスで二度見をしてしまいました。